【欧州では全廃】ヤバイ農薬、日本各地で使用される【化学物質過敏症】
令和二年(2020年)1月20日(月)に、「農薬クロルピクリン 後絶たぬ健康被害」という記事が朝日新聞に掲載されました。
その記事では、近所の畑で使われていた農薬クロルピクリンによって、化学物質過敏症を発症した人の事例などが紹介されています。
ある時、激しい目の痛み、めまい、くしゃみが起こり、手足にはブツブツした小豆大の水疱ができたそうです。病院を受診すると、「化学物質過敏症」と診断されました。結局その方は仕事を続けることができなくなるほどになってしまったそうです。
これが日本の、しかも戦前や戦後すぐの出来事ではなく、令和の出来事というのが驚きです。
薬品のイメージ |
農林水産省、環境省は、クロルピクリンがあまりにも危険なため、2003年に「被覆を要する農薬」に指定しました。
特殊なフィルムで畑を覆う必要があるということです。
ところが、最近の調査によると、そのフィルムはクロルピクリンを一気に空気中に放出しないだけで、約1か月をかけて80%も漏れ出ていたそうです。
新聞では、そのフィルムの改良と普及に注力するJAの様子を紹介していましたが、
クロルピクリンが禁止されるということにはならないのでしょうか。
被覆された畑のイメージ |
そもそもこのクロルピクリン、どういったものかというと、
作付け前、何も植わっていない状態の畑に、害虫駆除を目的として使用する農薬です。
注射器のような器具(土壌灌注器)を使って、土の中にクロルピクリンを注入します。
それで土の中にいる害虫を殺そうというのです。
ですが、作物が育つとそれを嗅ぎつけて結局畑の外から害虫が寄ってきます。
少し難しいですが、土に含まれる窒素分が多いと虫が寄ってきやすくなったり、そもそも未完熟の牛糞たい肥などを使用して虫が大量発生したりということがあります。
また、一種類だけ作物を育てると、その作物を好む虫ばかりが発生しやすくなるという自然の法則もあります。
さらに、クロルピクリンなどの農薬を使って害虫をことごとく殺すと、天敵のいない状態のまっさらな畑になるため、農薬を使う前よりもさらに害虫が増える、リサージェンスが起こる可能性が上がります。
つまり、クロルピクリンというのは一時的に土の中の害虫を殺す「気休め」にしかならないのです。
そのため、クロルピクリンは使用しないことにした人もいます。私が知っている、花きを専門とする方はクロルピクリンをハウスで使用していました。
しかし、注入すると土壌からガス化して空気中に広がるため、どうしても吸ってしまうのです。
しばらくすると、頭がフワフワする感覚に襲われ、気持ち良いという感覚さえ覚えると言っていました。この麻薬のような感覚に、身の危険を感じたそうです。
一方で、中には「気休め」のクロルピクリンのうえ、さらに別の農薬を何回かに分けて散布する人もいます。
これがどういったことなのか、化学を多少かじったことのある人なら分かるでしょう。
「畑の近くに住んでいないから関係ない」
「そんなのは一例に過ぎない」
「症状が出てないから困ってない」
無関心な人はそう言うかもしれません。
ですが、日本の田舎は農薬だらけで、昔にいた虫や魚などの動物たちは見る影もないと言ったらどうでしょうか。
私ははっきり言って嫌です。
実際に農薬の影響でトンボやサンショウウオなどの動物が絶滅の危険に晒されています。
そんなに害のある農薬なら使わないでほしいというのが一般的な感覚なのではないでしょうか。
幸い、クロルピクリンを使わなくても農作物は育ちます。
クロルピクリンが含まれる農薬は、混合剤も含めて17製剤。使用に適しているとされる作物は、野菜で65種類、果樹で3種類、花きで19種類、穀類などで6種類。
新聞に掲載されたクロルピクリン被害の例は、氷山の一角に過ぎません。
クロルピクリンが原因で健康被害があったと報告されるのは年間10件前後。
未報告の健康被害、その他農薬による健康被害を含めると、相当数の被害があることが想定されます。
ただ「化学物質過敏症」とだけ診断され、農薬を使った食べ物は一切口にできないという人もいます。
農薬を使わないという選択が日本にもあっていいのではないでしょうか。
岡本帰一 「ユビキリ」 (1925) |
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