八丈オクラ

 クセのない軽やかな口あたりと、ネバネバした食感がたまらないオクラ。夏の野菜として愛されている野菜の一つです。 

 八丈オクラは八丈島で古くから栽培されている伝統野菜ですが、断面が五角形の海外にルーツをもつオクラとは異なり、断面が丸形の日本独自の伝統的なオクラです(しんしゅう屋では和オクラと呼んでいます)。


 和オクラは、沖縄で主に栽培される「島オクラ」と「八丈オクラ」の二種類しかありません。そのうちの一つである「八丈オクラ」をご紹介いたします。



日本のオクラは「オクラ」ではなく「ねり」

 現在使われているオクラという名称は、アメリカでオクラと呼ばれていることに由来し、その英名の「okra」もまた、ガーナで話されるトウィ語の「nkrama」から来ているそうです。


 日本に「オクラ」がやってきたのは明治以前で、「ロング グリイン」と「ドワーフ グリイン」の二種類のオクラがアメリカから渡来しており、それぞれ草丈の高いものと低いものでした。


竹中卓郎『舶来穀菜要覧』(大日本農会三田育種場、1885年)P119


 食用として全国的に「オクラ」が普及する昭和50年代以前は、「オクラ」は「ねり」と呼ばれ、前述した書物においても、渡来したオクラのことが「あめりかねり」と記されています。

昔の「ねり」のほとんどは花オクラで、同じく「草ねり」と呼ばれ、紙漉糊などに用いられていました。食用としての「ねり」は、八丈島や沖縄で栽培され、現在それぞれ「八丈オクラ」、「島オクラ」と呼ばれています。

 

余談:昔の日本人は粘り気があるものを「ねり」と呼び、それが転じて「のり」=「糊」になった可能性がある。



あまり島外に出回らない和オクラ「八丈オクラ」

 日本の伝統野菜である「八丈オクラ」と「島オクラ」は、断面が丸型で、「丸オクラ」という総称があります。対して海外品種のオクラは星型で、それぞれ丸莢と星型莢と呼ばれています。

星型のオクラは大きくなりすぎると固くなりますが、「丸オクラ」はその倍になっても柔らかく、大きく食べごたえのあるオクラの食感と粘りを楽しむことができます。

 

 そんな和オクラの一つ「八丈オクラ」ですが、実のところ島外にはあまり出回っていません。オクラの楽しみ方は様々ありますが、オクラを使った八丈島の郷土料理には、オクラの粕漬、オクラのさっと煮などがあります。

 

*しんしゅう屋の八丈オクラの旬は、7月〜10月。


八丈オクラの花

八丈オクラの成長途中

食べごろを迎える八丈オクラの実




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